ナチスドイツはドイツ国民の中にあったルサンチマン、絶望感、不満を吸い上げて大きくなった。
ならず者やゴロツキが、そうでなければ刑務所にいたはずだろうが、かえって警官になった。
不満や怒りの標的は(理念・タテマエ的にはヴェルサイユ体制だろうが、もっと下世話・直接的には)ユダヤ人だった。
では民主党は何を吸収して大きくなったのか?
その標的は何だったのか?
【インテリ/オーバードクター】
大学院修了は意味のない学歴である。勤続年数で退職金が算定されるシステムにおいては、それは「勤め始めた年齢が遅い」ということでしかない。「学歴社会」は実は「四年制大学卒」までしか意味を持たない。彼らは自分たちの学歴や学問、知識、技能に価値を認めようとしないこの虚妄の偽「学歴社会」に怒りを抱いた。
「自分は真に必要とされてはいないのではないか?」この悲しみと憤りは深いものであった。
【都市部のサラリーマン】
都市のサラリーマンの最大の不満は不公平税制である。自分たちの税金で地方や農家が養われており、自分たちに還元されない、と彼らは不満を抱いた。
このことは自民党政権時代からの大きな課題であり、自民党が都市に基盤を持つ国民政党として構造改革を遂げる機会であったが、結局自民党はそれに成功しなかった。
【農家】
その農家も、自分が補助金に守られ優遇されているという実感など持っていなかった。都会のサラリーマンの生活の感覚を知らない(あるいは、すでに兼業化して実質サラリーマン生活をしていながら、それを知らないかのように振る舞う)彼らには、自分たちに既得権益があってそれを守ろうとしているなどと指摘されても納得できなかった。
逆に政府はグローバリズムだのフリートレードだのを合い言葉に、自分たちの生活を根底から脅かそうとしているように思えた。
国は自分たちを見捨てようとしている、と彼らは感じた。(そのかわりに彼らが選んだ政権は、中国から物を買うどころか中国に国を売っていたのであったが…)
つまるところ民主党政権の登場直前には、およそあらゆる層に不満が渦巻いていた。
どの層にも自分の既得権益があり、他の層の羨望や嫉妬の的であったが、自身ではそれが実感できず、誇りに思うことができなくなっていた。
みんなが、自分は不幸なのではないかと感じていた。
要するに、とりあえず衣食足りているのに不平不満ばかり言ってる、
だだっ子みたいなもの、それがわが国民の姿だった。
では民主党が、ナチスにとってのユダヤ人のように、「すべてこいつらのせい」「こいつらを一掃すれば世の中はよくなる」として設定した標的は何であろうか。
「自民党政治」であり「旧体制」が当面わかりやすいそれであったが、実は
日本の歴史と伝統に根ざしたものすべてであった。
これらに「自民党政治の負の遺産」「右翼」のレッテルを貼って貶め、排除しようとした。
ネットでは「ネトウヨ」という言葉が溢れかえった。
私自身も、たんに民主党を雑談や酒の席でひとことふたこと批判したことによって、「バカ」「嘘つき」「極右」「キチガイ」と、実の親や仲人、同僚たちに言われたものだ。彼らはやがて、みずからのその軽率かつ心ない一言によって歴史に永久に記憶されることになるという自分の運命をまだ知ることなく、夢の中にまどろんでいる。
さて一方、こうして自信を喪失させられ弱体化させられた日本社会を食い物にし、利益を吸い上げようとしたのが中国人と朝鮮人であり、民主党は政権交代にあたって彼らの支持と支援を取り付けるのと引き替えに、彼らの利権漁りに奉仕する装置になったのである。
中国人はいわば国ぐるみであったのに対して、朝鮮人の場合はその主な原動力は在日のルサンチマンであって、韓国政府が深く関与しているようには思われない。それゆえに主体性をあまり持たず、結局は中国人の手先・露払い(あるいは表だって反感や不信感を引き受ける役目。中国人に盾として利用されているわけだ)という役割の中に回収されてゆくことになるものと思われる。
わが国と国民にとって不幸中の幸いであったのは、
(1)民主党はアマチュア政治集団であったためあまりにも無能で、ボロをたくさん出し、スマートな日本破壊はできなかった。
(2)インターネットの支配に至らなかった。
(3)秘密警察と親衛隊の創設に至らなかった。(やろうと思えばマスコミは批判せずにいてくれたであろうと私は確信する)
(4)中国への国民の不信感と嫌悪感はいかなマスコミの力をもってしても拭い去れなかった。
湾岸戦争において、イラク親衛隊のクウェート略奪を手引きしたのはクウェート国内に住むパレスチナ人たちであった。
彼らパレスチナ人は、戦後のクウェートにおいて、当然ながら極めて惨めな立場に追い込まれた。こんにちアラブ世界において、反イスラエル運動の口実として利用されるという以上に、パレスチナ人そのものに親身の同情と信頼を寄せる国などない。
殷鑑遠からず。
野心ある大国の侵略の手先を務めようとする者は、誰であれ、峻厳なる歴史の審判に遭うであろう。

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