落語家一〇周年記念公演 月亭方正独演会in秋田(7月8日(日))
秋田市文化会館小ホール
(「小」ホールっても300人入るんだけどさ。…
当日券もあったけどw)
《2000年代、00年代後半。山崎邦正は悩んでいた。
みんなを喜ばせる人になりたい。そう思って自分は芸人になったのではなかったのか。
だが今の自分はテレビに出ること自体が目的のようになっている。
自分はこれでいいのだろうか。
悩む山崎に東野幸治がアドバイスした。落語を聞いてみたら、と。
正直山崎は落語には興味がなかった。
しかし次に東野に会ったとき、落語聞いたか、と聞かれて「聞いてません」とも言えないので、とりあえず桂枝雀のCDを聞いてみた。
それは「高津の富」(「宿屋の富」)だった。
ほとんど無一文の男が、因州鳥取の在の大金持ちを騙り、真に受けた宿の主人に富札を買わされ、なけなしの一分銀をはたいてしまう。
崖っぷちの男に山崎は自分を重ねた。
すでに40歳。家も買ってしまった山崎が今から全てをやり直すのはどう考えても遅かった。
だが山崎は本気で月亭八方の門を叩いた。
40男が人生を賭けて買った最後の富札は果たして千両か、それともウドン食って寝るか−》
演目1.月亭方正 大安売り
※マクラは子供の命名とキラキラネームの話。つまり「名前」の話。
演目2.桂三河 おじんタクシー
※新作。
−仲入り−
演目3.月亭方正 鼠穴
※マクラは芸人仲間でなぜか続発した膵炎の話から「夢は五臓の疲れ」。やはり膵炎になった中川家兄の話から「兄弟」の話。
※先代文枝みたい。声まで似てる。そういえば「大安売り」も先代文枝がやっていた。
そうか、挑むか、「鼠穴」に。
これねえ、場面の転換が多くて、劇中劇(実は夢)があり、重苦しい悲惨な場面があり、真打ちがトリを取ってやれる難しい噺。
…ま、
腕に覚えのある生意気な二つ目が研究会でかける噺でもあるんだけどね。立川流によくいるようなさ。
実際、故・談志が得意としていたし、今も志の輔が盛んに演る。だからどう考えても、難しいわ、較べられるわで損な噺だ。
しかし−
方正(地)「気持ちがええでしょうねぇ…十年経って『ドやー』と表へ出るんでございますよ…」(そうか、それが言いたくてこれ演ったか…)
兄「タケ、この通りや。頭下げる−」(方正の目に涙が光った)
武次郎「なんで俺が[蝶野にw]殴られなあかんねん!」
…オイ、きっちり演れてるじゃねえか。
結論。
育った、よく育った方正(涙)。
もしあんた、これはウドンやない。一杯呑んで寝まっせ−

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