「現代闇社会を知るための○○章(に入ってないこと)」
書評
『現代韓国を知るための55章』(明石書店)てなタイトルのシリーズがある。
こんだけ章立てしたなら、重要な論点は大抵カバーできているに違いない、と、誰でも思う。だがしかし。もしかしたら、読者の目から隠したい論点があって、それをごまかすために55だの60だの並べ立てたのかも知れないのだ。まさにそのために、このたぐいの本は書かれてるのかもしれない...。
「
書くということは、書かないということも含めて、書くということである以上、もはや書くということは逃れようもなくわたしの宿命であるのかもしれない...」金井美恵子「兎」より。現物手元にないため−実はあるのだが寒いから取りに行きたくない−、うろ覚えで再現。
さて、本題。
◆BUBKA編集部[編]『ワルの大事典 ベストセレクション』(コアマガジン)
・次のものをなぜか
必死で目の敵にしている。
「風俗マンガ家(成田アキラのこと?)」p.318
「三行広告がインチキだと言う人(「アホバカ」呼ばわり)」p.307
「もうかっている占い師(でも名前は出さないのね...w)」p.182
「自己破産の指南本(すごく汚い言葉で罵倒w)」p.184-186
−−なぜでしょう。
なぜこんなことに必死なのでしょう。不思議だにゃ〜。
・
索引があるのはいいが、「朝鮮」「在日」の項がない。「韓国」も、「韓国系デリヘル」だけ。
・新大久保についての記述では、
元からいる在日(オールドカマー)には同情的で(その貧困・差別との苦闘と日本社会への渡航・定着・同化と融合の歴史を切々と綴っている)、
ニューカマーには一転して厳しい。
・
「北朝鮮並み」という言葉を、「日本人の○○は〜」という文脈で使う。
例:日本人のメディアリテラシーは〜。p.191
その意図と目的は何か。(1)「北朝鮮」に対する日本人のマイナスイメージを利用して、日本を貶めるキーワードにする。(2)「北朝鮮みたい」を悪い意味に使っているぐらいだから少なくとも北朝鮮系のライターではないんだな、と日本人読者が安心し親しみを持ってくれることを期待w(3)日本だって北朝鮮みたいなところがあるのだ、と繰り返し強調することによって、北朝鮮もまたそこいらによくある普通の国と違わないんだな、と素朴な日本の読者に思わせたいw
・
次のような、真に役に立つw情報は一切書かれていない。
「
ヤクザの中には在日朝鮮人や同和関係者がどれぐらいの割合でいるのか」
「
創価学会と在日・同和の関わりは?」
「《
阪急沿線》に住んでいるとなぜか本人たちは必死で言い張るが、実はそこ○○は大阪でも△△の多い地区である」
「『ハリ紙屋』(p.188)−中傷ビラを電柱に貼り付けて精神的に追い詰める業者−の
クライアントには某巨大宗教団体も含まれるのか?」
「差別をメシの種にして他人の就職や結婚話をぶち壊して平気な
興信ゴロというのは、実は『身内』の情報を食い物にしてたりしないのか?」
「
スパム業者とは実際どういう人たちなのか?」
「
社民党の選挙候補者がよこす挨拶ハガキに書いてある私の住所が微妙に間違っていて、しかも
大阪の裏ビデオ業者が昔よく送りつけて来たカタログの封筒と同じ間違い方をしているのはなぜなのか?(ヒント:
名簿業者)」
「
街宣右翼とか総会屋の正体は何なのか?」
「
暴走族とか以前あったチーマーとかと暴力団はどうつながってるのか」
「
パチンコ屋の莫大な利益のうちどの程度が北朝鮮に流れているのか?」
「在日ルポライター
きむ・むい氏はなぜ消されたのか?」
「秋葉原にもよくいる、
リソグラフ売りつける展示即売会とか、ヒッポファミリークラブとかのビラが焼き肉屋のレジに置いてあったりするのはどういうわけなのか?」
・在日と
北朝鮮製覚醒剤の関わりの有無について一切書かれていないが、蛇頭やコロンビアマフィアと麻薬のことは書かれている。
・
新興宗教ビジネスについて一言も触れていない。それと在日社会、同和団体との関係についてももちろん記事がない。
・「とさつ(なぜかひらがな)業者」p.222について言及はあるが、
同和利権については何も書かれていない。
在日利権についても同様。またそれらとヤクザの関係の有無についても触れられていない。
・「天皇などの皇族」(ホームレスの項で)と
呼び捨て。
この本、いろいろ(というより、腐るほど)裏社会のネタを詰め込んでいるが、
そこに書かれていないことから読者の目をそらすことが、執筆の真の動機なのかもしれない......。
ついでだが、
・「
嫌韓デマを流している本当の勢力」とか「
嫌韓デマの真実」などについてはついに
何も書くことができなかったらしい。
それにしても、「売春島」の存在とか「ダルマ女」(アンピュティーの娼婦)とかについては書いてもよくて、「スパム業者」とか「
チマチョゴリ切り裂き魔の真実」については書いちゃいけないのはなぜなのだろう。(ヒント:実在しないものは何書いても平気)
とかまあ、
いろいろと勉強になる本でした。はは。

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