昨日、京都国立博物館で開催中の「長谷川等伯」展へといって参りました。
凄いものはいっぱいありましたが、やはり等伯の代表作である「楓図壁貼付」、「松林図屏風」が白眉でしょうか。
なかでも「松林図屏風」
それほど巨大でもなく、松の木と、遥か彼方の山の稜線のみが濃淡の墨のみで描かれたものですが、少し離れて全体を見ていると、何も描かれていない松の木の間に、確かに漂う濃い霧の流れ、その湿り気の感触、濡れた土や葉の匂いまでもが、見えてくる、あるいは感じられてくるという…… まさに驚きです
解説によれば、この作品、その紙の質の悪さ、紙の張り合わせの粗雑さなどから、何かの下絵ではないかという説も有力で、押してある落款も後世に押された全くの偽物であると言います。どういう来歴かはよくわかりませんが、私としては、仕事としての作品では無く、等伯が全くのプライベートな事情、又は本人の発意で描かれたのではないかと思ったりしています。

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