2019/9/12  16:58

ペインレス 上 (天童荒太著)  読書暦

診察したいんです、あなたのセックスを――

若き美貌の麻酔科医・野宮万浬のペインクリニックに現われた貴井森悟は、彼女にとって舌なめずりしたいような実験材料だった。
 森悟はビジネスの最前線である中東の紛争地帯で爆弾テロに遭い、痛覚を失って帰国した。末期ガンの病床にある曽根老人から紹介されてクリニックを訪れた森悟は、身体の痛みを失っているという理由から、万浬の注目を惹くことになる。最初の診察の直後から彼女は、セックスを通して森悟の悦びと痛みのありかを探ってみようと心躍らせるのだった。
 セックスを伴う「診察」が繰り返される中で、森悟は、紛争地帯で遭遇した事件の詳細を語る。彼は、ビジネスという名の下で行われる先進国の身勝手に疑問を抱く人間だったが、そのために却って、現地の人々に試されることになる。森悟の出会ったテロリズムは、その果ての悲劇だったのだ。
 万浬は、実は心に痛みを覚えたことのない女性だった。彼女がそうなったのは、トラウマがそうさせたわけではない。どうやらそれはDNAのためであるらしかった。
 万浬は自分が、世間の人々を、なぜ、そしてどこがどう違っているのか確認せずにはいられなかった。彼女の一族の過去が、薄皮をはがすように一枚一枚暴かれてゆく……。 2018年4月刊行
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