モートンイトトンボ(画像上)は、体長25〜28mmとイトトンボの中でも最小クラスで、北海道南部(現在は絶滅?)から九州までの平地から丘陵地にすんでいます。オスはペパーミントの胸に蛍光色のようなビビッドなオレンジの腹というポップないでたちなのに対し、メス(画像下)は若いうちはオレンジが鮮やかですが成熟すると黄緑色で目立たなくなります。平野部の生息地から次々と姿を消しているため、環境省のレッドデータブックでは準絶滅危惧(NT)に指定されています。横沢入でも発生が始まりました。(P.Delias)
このトンボは丈の低い草が生えた日当たりのよい浅い開放水面を好むので、湿原や沼地の岸辺、休耕田などでよく見られます。下の画像のような環境ですね。右に写っている哺乳類は無視して下さい(笑)。
横沢入では1994年の調査で生息が確認されたものの、その後姿を消してしまい、2008年に14年ぶりに再発見されました。これだけ多くの人が入っている横沢入ですから、その間まったく見つからなかったのは、生息に適した環境が失われていたとも考えられます。
実は横沢入の反対側にある日の出町のとある地区では、横沢入で姿を消していた時期にもモートンイトトンボの生息が確認されていました。ここではヤマトセンブリも見つかっています。断言はできませんが、距離が近いだけに彼らの避難所になっていて、横沢入に環境が回復したので戻って来たとも考えられます。
保全生態学の分野でも、生物のためには大きな面積の生息環境を残すことと同時に、隣接した複数の環境を残すことの重要性が認識されつつあります。横沢入だけをサンクチュアリーとして残せば良いわけではなく、周辺の環境との関連にも注目する必要があるようです。
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