2013/6/1

ニナガワ パリ公演  
Corbeaux! Nos fusils sont chargés!「鴉よ、おれたちは弾丸をこめる」清水邦夫作・蜷川幸雄演出。最前列で観る。おおいに期待して行ったので、帰り道治まらず友人と2パイントも飲んでしまった。
 舞台上部にフランス語字幕。セリフがまったく聞き取れないので字幕がなかったら分からない。それが特に、終始叫んでいる青年役の若い男2人。と重要な弁護士役の男性。年配の方々でも女性の台詞は小さくとも聞き取れた。事件の発端がカオスで、何が起きたのか分からないまま、騒ぎは進んでいく。
 ゴールド・シアターと呼ばれる方々の一団37人と、ネクスト・シアターと呼ばれる若者20人余、60人近くを登場させる、というかパリまで連れてくる、その現象自体が凄い。飛行機はチャーター便?と聞きたくなる。
 中盤は寝てしまった。終演後、客席は静かだった。足早に帰る人々をよそに、幕前に椅子が用意される。誰がどんなコメントをするのか一応聞いておこうかと席を立たずにいた。フランス語通訳の解説が少しあり、その後新聞記者Tさんという女性が紹介された。「演出家ニナガワという存在の日本での位置を説明してください。」と通訳。そのセンスのない問いも問いだが、答えにも驚愕。「まず、2位以下を大きく突き放してダントツにその名が有名な演出家でぇ、」と小さな女性は語尾を伸ばすゆる〜い?日本語で言った。ぞっとして私はとっさに不快感を感じた。「海外は特にロンドンで、評価されていてぇ…」「俳優のきちんとした教育機関がない日本では、演技の実力はなくてもルックスがよくて、テレビや映画で活躍する人たちがいるが、ニナガワの舞台に出ることで生まれ変わったように本格的な俳優になる」。じっとしていられず動画を回し始めたが、なんか、ばかばかしくなって止めた。蜷川氏に対しても失礼なのではと感じた。突き放されている2位の演出家って誰?1位2位とかいう順位付けもおかしい。好意的に紹介することが目的なのはいいが、品が無さ過ぎやしませんか。
友人は、私をなだめる。
日本文化会館にやってくる人々は、日本ファンなだけで、とにかく日本のことを知りたくて来ているんだから。と。確かにそれならそれでもいい。しかし、発信する側の良識も重要だよ。だったら、世界のニナガワは、パリの芝居小屋で勝負をしてもらいたかった…。
あるいは今回は、ゴールド・シアターという活動の紹介ならばそれでもいいのか。
 嘗てパリに来た日本人の演出家が、(どちらも自身の劇団を持つ男性演劇人)、ひとりは「僕は演劇界では、いわば評価が遅れた映画界での小津安二郎で」もう一人は「僕の劇団は日本の太陽劇団といわれている」と豪語したのを、客席で聞いていて、恥ずかしさと怒りで気持ち悪くなった時と同じような気分になった。フランスの観客は自分が観た通りの物を信じる、と思う。
なんか、そういう価値判断を先にするコメントが、くだらなくて悲しい。
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