私は毎朝ワタナベに起こされる。ワタナベは猫18歳である。
最初はほおのあたりをポシポシと叩いて起こそうとするのだが、かわいいのでもっとポシポシしてもらおうと思っているうちに私はまた寝てしまうのだ。その結果、毎朝鼻フックをくらう。猫の爪の鼻フックはかなり強烈なのだ。
その後はまず朝ゴハンだ。そして私が化粧を終えてメイクボックスを閉めると、再びワタナベにスイッチが入る。ワタナベの中では「化粧終わり→仕事に行く→しばらくゴハンがもらえない」という図式になっているらしい。
なので出かける前のゴハンを必死になってねだる。もちろん、コレは私だけではなく姉にも同じ行動をする。結局朝ゴハン×2、朝ゴハンの後のゴハン×2で朝だけで計4回。
ワタナベは四六時中食べることを考えている。
食べてる時も目はゴハンが入っている棚をにらんでいるくらいだ。
ビニール袋はとりあえずチェックだ。それがたとえ大福であっても箱入りコーンスープであっても。食パンなぞ5分も目を離せば、もうびーりびりのバーラバラだ。
そんな油断もスキもないワタナベだが、私がパソコンをいじってたりTVを見てたりしてる間は、何ももらえないと理解しているようだ。
仕方ないから膝の上に乗ったりしているうちに眠ってしまう。これがまた重くて足がしびれてしまうのだが、かわいいので限界まで我慢する。
だが、TVを切った瞬間、ワタナベのスイッチがオンになる。
ワタナベの中では「TVを消す→寝る→寝る前のゴハン」という図式になっているようだ。だが、私は足がしびれているのですぐ立ち上がれない。「うぉぉ」とのたうち回っている私の横でワタナベは「ウアア〜ア〜ア〜ア〜ア〜」とメシくれ警報を出すのだ。軽い地獄絵図だ。
もちろん寝る前のゴハンを食べてる間もあせっている。今食べてるゴハンを「寝る前のゴハンの前のゴハン」にしようという意図がみえみえだ。私からもらったあとは、姉にも警報を出す。
ワタナベにしてみれば「オカンからはもらったがお前からはもらっとらん」という気持ちなのだろう。なぜかはわからないが。
結局、帰宅してすぐ晩ゴハンはもらっているのだから、夜は晩ゴハン×2、寝る前のゴハンの前のゴハン×2、寝る前のゴハン×2で計6回だ。
夜中にトイレに起きようものなら即スイッチオンだ。寝たあとのゴハンをもらわなくてはいけないのだ。
ボケたのかなあ,とも思うのだがこれは最近になって始まったことではないので、多分ボケではなくただのゴウツクバリなのだろう。
そろそろ風呂の時間だ。風呂の前のゴハンをねだられるのだ。
画像は手を上げるワタナベ。


1