「おはようございます!寒いですね〜。本日は浄水器の交換もございます。失礼致します!」
某レンタル会社の担当者が来た。こやつはこの地区の支店の所長だ。うちの担当になってからかれこれ4ヶ月。朝の忙しい時間にとうとうと世間話をしたがる空気の読めないヤツだ。
まずはマットの交換、そして問題の浄水器の交換だ。
なんでこんなに手間取るのだ!なんで手よりも口が動いているのだ!
「ところで、この浄水器はどの蛇口につながってるんですか?」
にゃにぃ?おまーはそんなことも知らんと、今まで交換しとったんか!
「まあそれにしても(フンッ)毎日(フンッ)寒いですね〜(フンッ)。
・・私もですね(フンッ)・・」
もうすでに誰もあいづちすら打たなくなっているのに、おなじみの世間話。ちなみに(フンッ)と言うのは浄水器を取り付ける際の、ヤツの鼻息。
やっと帰った。またも営業開始時間ギリギリである。
そして事件はランチタイム中に起こった。
「リリコさん!大変!み、水が〜〜〜!!」
お客さんの合間に059のあせった声がした。驚いて見ると、流しの下に設置してある浄水器からジョバジョバと水があふれている。
「どしたのー!」
「わかんないー!急に〜〜!」
ボルトらしきものを締めようとしたが、すでに堅く締めてある。ジョバジョバ・・どうしよう?とりあえずやつに電話をしなくては!ジョバジョバ・・姉に電話を頼んでまた覗き込む。お?
「元栓みたいなの締めたら一応止まった」059でかした!
でも、どうしよう。浄水器はコーヒーメーカーにもつながっているので、元栓を締めたということは、コーヒー関係が一切出せない。食事を出したばっかりなので、ドリンクを出すまで少し時間がある。その間にやつは間に合うのか??
「失礼致します〜!」キターーー!
急いで状況を説明する。首をかしげながら直しにかかるヤツ。近くにいると延々と言い訳のようなコトを口走っていてウンザリなのだが、見張っていないと不安だ。
「ハイ、もう大丈夫だと思います。出してみて下さい。・・水圧が強いところがたまにあるんですが、そうする・・」ジョバジョバジョバ・・。
デター!!!
やり直しである。
隣で見張りながら、原因を問いつめる。
結局インとアウトの管がキチンと締まっていなかったことが原因らしい。
「え?それだけですか?」
「ハイ!ここをカチッとはめればいいんです」
「それだけですか?」「ハイ、もうそれだけなんですよ」
「・・それだけのことが、さっきは出来てなかったってことですか」
さすがにこのイヤミはわかったらしく、ヤツの顔から笑顔が消えた。
そのあともさんざん、元々の設置の仕方がおかしい・水圧が強いおそれがある・水圧をはかっていない、と言い訳の嵐、それもすべて前担当者のせいにしている。あげく「今はたまたま私が会社にいたからラッキーでしたね」・・・。
ハァ??「別に所長さんがいなくてもこんな状況なら誰か来てもらわないと・・」「イヤ、この時間は誰もいないんですよ」(満面の笑み)・・なんじゃ、コイツ!何じゃコイツ!何じゃコイツーー!!
奥歯を噛み締めながら私が言った「そーいうこと言える場合じゃないですよねぇぇ」で、やっとヤツにも私の怒りが通じたようだった。
そういえば前回ヤツが帰ったあと、入り口のマットがなくなっていた。
ヤツはマットの交換に来てるはずなのに!ヤツは新しいマットを持って来て、古いマットを車に積み、料金をもらって、帰り際に新しいマットも持っていってしまったのだ。
古いマットと新しいマットの交換、ただそれだけのことすらできなかったのだ。所長なのに・・。
うちの担当者はそんなヌケサクなのだ。それだけのことだ。来月も来るかと思うと私は泣きたい。

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