何も用事はなかった。展示会もなにもない。
ただ、これだけのために今回の出張となった。
浅草に来るのは10年以上ぶりだ。
あ、ちがう。ミズノさんにもんじゃをゴチになったことがあったか??
などと思い出しながら雷門を通過。
約束の時間までなんと2時間以上もある。
唯一入れた仕事が時間切れでトンでしまい、こんなに早く浅草に着いてしまったのだ。今回の目的に対する意気込みすら感じるなあ、我ながら。
せっかくなので浅草寺をお参りすることにした。
焼きたての人形焼、焼きたてのおかき、舟和の芋ようかん…、なんでこんなにうまそうなものがひしめいているのだ。
おせんべいの一枚くらい…とフラッとイキそうになったが、今回の目的を思い出してぐっと我慢した。
お参りしてなるべくゆっくり歩いたが、それでも一時間半弱余っている。
スタバでトメちゃんとチャットしながら時間をつぶした。
そして待ちかねたその時はやってきた。
今半のすき焼きだ!
とあることで凹んだ私を励ますため、コーちゃんがご馳走してくれるのだ。今半のすき焼き…そう思っただけで凹みが直りつつある。
実は計画途中で、焼き肉へ変更の危機に陥ったのだが、「オ・ネ・ガ・イ」と甘えて軌道修正してもらったくらいだ。
文化財にも指定されている別館の個室に案内された。
いいトシの大人が3人、どーなのどーなの、と微妙に緊張している。
担当の仲居さんはヤシマさんといった。
隣の個室からはなめらかにしゃべる仲居さんの声が響いているのだが、ヤシマさんは一切しゃべらない。どうも私たちの微妙な緊張が伝染しているようで、お茶をこぼしそうになったりしている。
コーちゃんの仕切りで、夢のすき焼きタイムとなった。
旨さを語ると野暮になるby中尾彬、ということで、どれだけ旨かったかはあえて言わないが、家で食べるすき焼きとは全く別物であった。
あー近江牛って素敵。
隣の部屋からは「殿方はそうでなくっちゃいけません」という仲居さんの声。
殿方……。
何から何まで、別の世界だ。
がんばって2時間以上待った甲斐があった。というか、何も特別用事もないのに東京か…と思ったりもしたが、今回は「今半のすき焼き」の為に来たのだ。それだけの価値はあった。
トイレに行くふりをしてあちこち写真を撮り、私の今半体験は終了した。
コーちゃん、ホントにありがとう。急な誘いにわざわざ出て来てくれたカズさんもどうもありがとう。
そういえばコーちゃん、今半ってしゃぶしゃぶもあったよ。
「お、そーか。今度はしゃぶしゃぶで」
なーんて言ってくれるかなあ。てゆ−か、そう言ってくれるハズ。
殿方はそうでなくっちゃいけません。
画像は、庶民の夢・今半のすき焼き。


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